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時事問題とたまに株の研究

懲戒処分の“わいせつ教師”1030人

「胸を触ったり、下着をまくらせて体を見たり」懲戒処分の“わいせつ教師”1030人
 約半数が自分の教え子を狙っていた

 学校の先生が未成年の子供にわいせつな行為をして逮捕された、あるいは、生徒にセクハラをして懲戒免職になった、というニュースを1年に何度も目にするのではないだろうか。決してあってはならないことだが、「またか」と思って見過ごしてしまう。  9月28日、保護者らでつくる団体が、わいせつ行為で教員免許を失効した場合、その教員免許を再取得できないよう法改正を求める約5万4千人分の署名を文部科学省に提出。現在では3年経てば教員免許を再取得できる。 
 団体は同日、会見を開き、共同代表の郡司真子さんはこう語った。 「わいせつ犯罪歴があったり、子供に対して性的欲求を持ってしまう人が教壇に立つということは非常に危ういし、いま現在、学校で苦しんでいる子供たちを救う力になるかもしれないと思って声を上げました」
 読売新聞の調査では、2015~19年度の5年間でわいせつやセクハラで懲戒処分を受けた公立の小・中・高校などの教師が1030人に上ることが明らかになった。しかも、その約半数の496人が自分の教え子を狙っていたという。被害に遭った子供は、判明しているだけでも全国で945人に上ることも分かった。
 この調査では、石川県や広島県など5つの自治体の教育委員会が「プライバシーへの配慮」などを理由に被害者の子供の数を公表していない。また、被害を受けた子供が口止めされるなど、打ち明けられないケースも少なくない。実際の被害者は945人を優に超えるはずだ。
 わいせつ行為で懲戒処分となった事件の一つに、千葉市で男性教師が 6~12歳の教え子の女子児童7人にわいせつな行為 をするという常軌を逸したものがある。男は2018年に懲戒免職となり、強制性交罪や児童ポルノ禁止法違反の罪などで起訴され、千葉地裁で 懲役14年の判決 が言い渡されている。
 男が標的としたのは担任するクラスの女子児童。犯行の舞台となったのは全て学校内だ。放課後、教室に1人残したり、授業時間中にもかかわらず、クラスを自習にして1人別の教室に呼び出したりして犯行に及び、一部はカメラで撮影もしていた。2013年1月から逮捕される18年7月までの5年半、周囲にバレることはなかった。親や他の教職員に被害を言わない子供を選んでいたのだ。
 1人の子供が複数回、被害に遭った例もあり、ある女子児童は5回も被害を受けた。 服の上から胸を触ったり……  初めの口実は忘れ物の指導だった。小学5年だったAさんは、忘れ物が続き、担任だった男から放課後、教室に居残るよう言われた。教室で2人きりになると、突然、男に「服をまくって」と言われ、胸の下まで体操服をまくらされた。その日はそれで済んだが、その後、男の行動はエスカレートする。Aさんを1人呼び出しては、「体だけは大人になりやがって」と服の上から胸を触ったり、下着も含めて服をまくらせて、体をまじまじと見たりした。
「できれば死刑になってほしい」
 5回目の被害が最もおぞましい。校内の校舎に呼び出され、恐怖を感じるAさんは服を全て脱がされ、男はAさんの陰部を触り、口淫した。男は犯行の一部をカメラで撮影していた。
 Aさんは男の裁判に出廷した。被害を受けてもすぐに周囲に言えなかったのは「家族に心配をかけたくなかった」からという。男が逮捕された報道を見て、打ち明ける決心をした。法廷でのAさんは「できれば死刑になってほしい。それが無理なら、できるだけ長く刑務所にいてください」と強く訴えた。 「担任という絶対的立場を悪用」 「生活指導」「傷の状態を見る」「味の検査」――。教師と児童という関係を悪用し、次々と犯行に及んだ。男の犯行は、1人の被害者が母親に相談したことをきっかけに警察の知るところとなる。自宅の家宅捜索で男のパソコンやハードディスクが押収され、やっと被害者が7人いることが判明したのだ。裁判長も判決で「就業中、堂々と、しかも担任という絶対的立場を悪用し、長期間にわたって反復して犯行を行った。その大胆さと常習性は目に余る」と断じた。
 わいせつやセクハラは言うまでもなく性犯罪で、「心の殺人」といわれる。しかも、信頼する学校の先生から被害を受けることは、子供にとってどれだけ怖く、どれだけ言い出しにくいことだろうか。被害者は心に生涯残る傷を負っている。学校は本来、子供がのびのびと勉強したり遊んだりできるよう、教師が子供の模範となり、見守る場所のはずだ。
 文部科学省は9月15日、懲戒免職となり教員免許が失効した教員について、処分歴などの閲覧期間を現行の3年から40年に延長すると発表した。一度免職された教員が免許を再取得したとしても、再び雇用されにくくはなるが、わいせつ教師が減るわけではない。
 わが子を安心して学校に通わせられる日は来るのだろうか。